転職

初めての転職をする最適なタイミングについて

初転職

はじめての転職はタイミングが難しい。そして多くの人がタイミングを見誤っている。それが私の感想です。

まだ転職しないほうが良いだろうと思われる方が積極的に転職活動していたり、すぐ転職したほうが良い方が不安から慎重になりすぎてしまい、キャリアの機会を逃しています。

よい転職とは自分の歩みたいキャリアを常日頃から考え、キャリアを実現するために職場環境を変える必要があるときに行う転職です。

転職はあくまでキャリアを実現するための一手段でしかありません。漫然とした不安や焦り、目の前の不満から転職活動を始めるべきではなく、自分自身のキャリアを考えることから始めるべきなのです。

この記事では転職未経験の方がはじめて転職を考えるべき最適なタイミングを解説します。

初転職のタイミングは業界×職種の組合せで考える

新卒で入社した会社からはじめての転職活動をおこなう適切なタイミングは、あなたが転職先として選ぶ業界と職種によって変わります。

全ての転職は「業界」と「職種」で分類すると「同業界×同職種」、「異業界×同職種」、「同業界×異職種」、「異業界×異職種」の4パターンのいずれかに当てはまります。はじめての転職に適したタイミングはどのパターンの転職をしたいかによって変わるのです。

1.同業界×同職種

このパターンの転職は業界も職種も変わらないので今の会社で培われた経験やスキルをそのまま活かすことができる転職です。人材流動性の高い業界で比較的よく見受けられ、Web業界内で転職を繰り返すエンジニアやファームを渡り歩くコンサルタントなどが典型的な例です。

経験、スキル、実績があれば若手〜中堅のプレイヤーは引く手あまたであり、また35歳以降もマネジメント経験があればマネージャー候補としての需要が大きいため、同業界×同職種では実質年齢による転職限界はありません。

このパターンの転職理由として多いのは上が詰まっている会社で昇進が見込めないのでマネージャー経験が積める会社に移りたい、よりハイレベルな環境や待遇の良い企業に入りたいなどです。現在の会社でしっかり経験を積んでいれば年齢に関わらず需要があるので、転職を焦せる必要はまったくなく、ゆるく転職エージェントとつながって求人を定期的にウォッチして良い会社やポジションが見つかったら応募するのが賢い戦略になります。

2.他業界×同職種

自分の専門分野は変えずに、働く業界を変更するパターンの転職です。経理などのバックオフィス系やマーケティング職など業種を越えて転職することが比較的容易な職種でよく見受けられます。またコンサルティングファームを筆頭とした支援会社から事業会社への転職も多く、ITコンサルからWeb業界への転職や大手経理職からベンチャーの経理責任者への転職などもこのパターンです。

業界は違いますがスキルをそのまま活かせることから転職先の会社も即戦力として捉えるので、30代前半程度までは転職に困ることはありません。しかしながら30代後半で管理職としての転職になる場合はかなり難易度が上がります。これはマネージャーとして働く場合、業界特有の知識や慣習などを理解していることを求める会社が多いためです。

そのため30代前半までに即戦力のプレイヤーとして転職するのが一般的になります。また 職種は同じでも業界が変わると社風、労働時間、給与レンジなど労働環境が大きく変わるので長時間労働が当たり前の業界から脱出したい、年収を大きく上げたい、体育会系じゃない企業に行きたいなどの労働環境改善を求めて転職する場合もこのパターンの転職が有効です。

3.他業界×他職種

完全に未経験の転職となります。ポテンシャル採用となりますので30代以降の方が採用されることは殆ありません。キャリアを完全にリセットすることになるので、なるべく若いうちに転職するが望ましいです。

できれば20代半ばまで、遅くとも20代のうちに転職することを推奨します。例外として慢性的に人手不足の業界やコンサルティング業界などでは30代未経験採用を行なっています。

4.他職種×同業種

業種が同じだとしても職種が違えば実質的に未経験転職になります。社内で希望する仕事が存在するのであれば部署異動を最初に考えるのが無難です。

社内での職種転換が難しい場合には未経験として応募するか、職種転換前提で現在の職種で入社することになります。前者の場合はポテンシャルを評価されての採用となるので、20代での転職が望ましいです。

反対に後者の場合は今の専門性で貢献してから異動希望を出せば良いので異動が通る転職先さえしっかり見極めることができれば年齢で焦る必要はありません。ただしまずは自分の専門分野で結果を残してから異動になるので2〜3年はかかると考えたほうがよいでしょう。

キャリア検討の3つの時期

転職のパターンによって適切な転職タイミングが異なることをご理解いただけたかと思います。「同業種×同職種」以外のキャリアを歩む場合は適切な転職タイミングを理解しておかないと手遅れになる可能性があります。

冒頭で述べたように転職ありきで物事を考えず、まずは自分自身のキャリアを考えることが大切になります。社会人の最初の10年においてキャリアを考えるべき節目は3回発生します。その3回の内訳は次のとおりです。

  • 社会人1年目
  • 自分の仕事が一通りできるようになったとき
  • 会社で一人前になったとき

この3つのタイミングでキャリアの棚卸しを行うことで自ずと転職するべきか、今の会社で働き続けるかを判断できるようになります。なぜこのタイミングなのか、どのように判断すればいいのかをこれからお伝えします。

1.社会人1年目

就職では想定外のことがよく起こります。入社後に明らかなブラック企業だったことが判明したり、全く想定外の部署に配属になってしまったり、内定から卒業の間に気持ちが大きく変化してしまい就職先の業務内容とやりたいことが違ってしまったなどです。

就職直後に失敗したかもしれないと感じる人は毎年一定数いるものです。反対にキャリアに無頓着すぎて、本来すぐに脱出すべき職場であるにも関わらず、それに気づかない内にキャリアを駄目にしてしまう人もいます。

この時期によくある失敗はまだ仕事の全体像も見えてないのにも関わらず、必要以上に焦ってしまい、眼前の仕事にやりがいを感じるか、スキルアップに繋がっているという視点で転職の判断してしまうケースです。

短期的視点で判断せず、自分の部署の3年〜5年先輩の姿や仕事内容をじっくりと観察することが大切です。それが数年後のあなたの姿だからです。

先輩の姿をみて数年後に先輩のようになることに対してどのように感じるかをよく内省してください。その姿が明らかに自分の求めている姿でない場合、そして他社により魅力的な選択肢が存在する場合に転職を視野にいれるのは悪いことではありません。

職種転換するのであれば若かれば若いほど有利だからです。その場合は転職した場合と現職で残った場合の3年後の自分を冷静に比較して下さい。

2.仕事が一通りできるようになったとき

入社して数年経過すると先輩のサポートがなくても一通りの業務がこなせるようになるでしょう。業界知識も身につき仕事の全体像が見える様になっている頃です。会社からも戦力として扱われるようになり、任された仕事の範囲においては自分で判断して業務ができるはずです。

上司から言われた仕事をただこなしていくのではなく、自分なりの工夫や考えをもって仕事を進めることが求められ始める頃でもあります。この時期にキャリアについて考えるべきことは一通り業界知識や業務がわかった中で、今後も今の職種や業種で能力を伸ばして行きたいのかを真剣に考えることです。

もし答えがNOであれば転職活動をするべきです。もし判断がつかないのであれば、判断ができるようになるまでは転職しないほうが正解であることが多いです。

この時期は「隣の芝が青く見える」ことが多く、大学時代の友人などとお互いの近況報告をする中で、周囲よりも給与が低い、自分はまだ平社員なのにベンチャーに就職した友人はマネージャーになってるなど焦りを感じて転職活動を始めてしまうケースが多いです。

周囲からの刺激はキャリアを考えるきっかけとしては良いのですが流されすぎないようにしましょう。そして、この時期は経験のない分野に飛び込める最後の時期です。この時期を逃すと基本的には転職先は自身のこれまでの経験を活かせる会社に限定されることが多くなります。

3.会社で一人前になったとき

周囲からのサポートなしで仕事ができて当然、加えて新人や後輩の指導ができ、役職もプロジェクトのリーダーであったり、早い人であれば初級管理職を任される時期です。業界にもよりますが、平均的には新卒入社6年目〜8年目くらいで到達する方が多いようです。

この頃のあなたは会社のことも自分の分野の専門のこともよく理解していることでしょう。このまま今の会社に残った場合の未来もある程度見えるようになっています。

年齢も30歳前後になっており、このタイミングで転職をせずに会社に残る選択をした場合、同じ会社に居続けるか転職する場合も同業界同職種への転職が殆どになります。そのためこの時期に考えることは今の業界で一生過ごしたいかどうかが焦点になります。

この時期は自分の専門性が確立されており、かつ年齢も若いので一番転職マーケットで最も需要がある時期です。職種転換をするにはやや遅いですが、「同業界×同職種」または「異業界×同職種」の転職では引く手あまたです。特に「異業界×同職種」転職が最もしやすいのはこの時期です。

最後に

この記事ではあなたが描くキャリアによって初めての転職のタイミングが異なること、いつキャリアを考えるべき節目について解説しました。

漠然と転職活動をするのではなく、これまでの仕事を振り返り、今後どのような職業人生を歩みたいのかをしっかり考えることが良いキャリアに繋がります。初めての転職は緊張するでしょうし、わからないことだらけだと思いますが、この記事が参考になれば幸いです。